晴耕雨読にあこがれて

お天気の日は小鳥求めてとぼとぼ歩き、雨や風の日は小鳥寄りなモノづくりの日々

渡り鳥の還りを待つ

7年前のゴールデンウィーク明け、私は大切な人とそれまでの自分と価値観の全てを失った。そして食べるのも寝るのもどうでも良くなり、毎日川沿いで空を見ていた。ツバメの季節だった。当時はそれを眺めながら特に心動かされることも無く。ただ眺めていた。秋になりツバメを見かけくなった。それでも何も思わなかった。

次の年。桜の開花予報が聞かれる頃、長旅から還ってきたツバメに再会した。「お帰りなさーい」と思わず空に向かって手を振りながら、渡り鳥はいいな、こうやって還ってきてくれるんだ⋯と思った。鳥に対する憧れと愛おしさと感謝に包まれた。

それから私はいつも鳥と再会するために生きている。鳥たちが自分の元に還って来てくれること、それを待つことで私は生きている。その事に今年気がついた。

鳥を好きな事は変わっていない。だけど以前は自分も飼っているインコなどコンパニオンバードを中心に作っていた。けど、あのツバメとの再会以来は野鳥、特に渡ってくる小鳥ばかり。

自分の中で矛盾がないため「なぜ私はこんなにも毎日野鳥を求めてるのか、そして作るのか」なんて考えたことがなかったけど、今年それについて考える機会があった。

そうか。私は「還ってこないものの穏やかな日々を祈りながら、還ってくる小鳥を待つ。そしてその出会いを作品にする」というグリーフワークをしているんだ。